ビジネスおネエの長谷川君

「はい、お待たせ」


大きめのグラスに、グレープフルーツペーストと炭酸水の層がグラデーションになっていて、大きな氷を入れて赤い細いストローを差すと、自分で作っておきながら、とても美味しそう。


「下のとこ甘いから、よく混ぜてね」


俺の言葉にいちいち小さく頷く藤浦さん。


「今日、お仕事なの?」


今まで、頷いていたくせに″きょとん″という表情で俺を見上げる。


「……あぁ、あたし?」


……他に誰が??


つっこみたいけど我慢して、代わりにうんうんと頷く。なるべく藤浦さんの前ではおネエ言葉を控えたい、という悪あがきなんだけど。


「うん。ほら、のんちゃんと一緒のとこの塩澤書店だから。あ、のんちゃんは辞めちゃったけど」


知ってる知ってる。


だけどまた、うんうん頷く俺。