ビジネスおネエの長谷川君

「遥流さん、顔がニヤニヤしてるからすぐ分かるっス」


「なっ…………」


多分、頬が赤くなっている俺。


いや、マジで。乙女かっつーーーの。


ふん、とばかりにホールに向き直ると、藤浦さんと目があった。


控え目に右手を少しだけあげている。


……そういや、ここに来るお客は大抵でっかい声で「ハルちゃーーーーん」と、呼んでくる。


そうか。


普通、そっちか。


本来ならピシッと顔を作って「どれにする?」と低めの声で渋くキメたいところだけど……。


「ハイハ~~~イ、お決まり~ぃ?」


音符や、花を飛ばすイメージでルンルンしながら藤浦さんに、近づく。