「かっこよくないですか?」


耳元で、わこちゃんの甘い香りがする。


ローズ系?


たまに、香りが強すぎる、と、ゆりあから注意をされている。


こんなに近くでいい香りを嗅いでも、わこちゃんには1ミリもひかれない。


……いや。1ミリも、は嘘かもね。


いやいやいや、そんなことはともかく。


何言ってんだ、わこちゃん。


「そんなリップサービスで、この間の埋め合わせのつもりかっ!!」


ぐりぐりぐり、とわこちゃんにトレイを押し付け、小声で返す。


小声でも本来ならおネエでいかなければならないけれど、ついついスタッフ同士だと気が緩む。


「痛い痛い……違いますよぉ……あ、お客様」