ビジネスおネエの長谷川君

二人同時に空を見上げる。


「「雪だ……」」



凄い。


凄いな。


こんな嘘みたいなシーン、あるんだな。



なんか、感動して泣きそうだ。


あの日の想いが、実ったことを祝福されてるみたいで。



「ね、その格好あり得なくない?」


藤浦さんに言われて気づく。


雪の舞い散る寒空の下、薄手の白シャツに、黒いパンツ、装備はカフェエプロン……


「うん、あり得ないな……」


俺達は、両想いということが発覚し、しかも空から雪が舞い散り。


絶対に、キスするタイミングだったと思うんだけど。


藤浦さんが立ち上がる。


「上着、取りに帰ろう?」


えぇ?だから今更どんな顔して……と思ったけど、ふと気づく。