「偶然、どころか。俺も同じ時に藤浦さんに会いに行こうとしてたわけだから……凄くない?偶然の更に上って言うか……」


「え?あたしに会いに来てくれてたの?」


……しまった。


「……うん、まぁ」


勢いがないと、言えない。


そして、それは藤浦さんをきっと傷つける内容で。


「て言うか、なんでエプロン?」


言われて、え?と腰に手をやるとまさかのカフェエプロン。



……うわぁ。俺、このウェイターの格好で、街を駆け抜け、本屋の中をうろついて、ベンチで途方にくれて……何やってんだ。


「仕事を、抜け出して来たんだ」


藤浦さんが驚いた顔をする。