切れる息を何とか整えながら、本屋の中をぐるぐる回る。


いない。


いつだってそうだ。



初めて会いに来たときは、水着のオネーチャンの雑誌を手に取ろうとしたら現れて。


2回目は、見当たらなくて店の外で待ち伏せて(ストーカーではない!!)たら現れて。



……段々会いにくくなってるけど。


大丈夫。一発逆転、今日こそ運命的に会ってみせる。


……しかし、いない。




散々店内を見回って、一息つく。


乱れた呼吸も元に戻り、俺は迷わずポケットに手を突っ込んだ。


<会えぬなら 会いに行くから 大丈夫>


ばっちり五七五で一句詠めちゃってるし。


呼び出し音を聞きながら店の外に出る。


メールなんて甘いもんじゃねぇ。


電話だ、電話。