ビジネスおネエの長谷川君

「どしたんすか、自主休憩っすか」


やっさんが手を動かしながらこっちを見ずに言う。


そりゃそうだ。


俺が身を潜めているのは、キッチンの隅っこ。


やっさんは今、俺がオーダーを入れた、あの二人の分を作っているのだろう。手際よく動いている手元からガーリックのいい香りが漂ってくる。


「遥流さん、さっきのまかないどうでした?」


ん?と、思いを巡らせる。


えーと、今日は。


連日のパーティーメニューの中では割と地味だったけど、凄く美味しかった……


「グラタン、だよな?美味しかった!」


……食レポのセンスを我ながら1ミリも感じない。