ビジネスおネエの長谷川君




気持ちのよい秋の晴れた陽気が人を誘うのか、今日の混み具合は異常だった。


ふと気がついて、時計を見る余裕ができた頃には、2時を回っていて。


その頃には、


「ハルちゃん、風邪ひいたの?」


と、お客さんに心配され始めていた。


喉を酷使し過ぎたらしい。


「やぁねぇ、喋り過ぎなのよ、アタシ」


まるで酒焼けしたかのような声で体裁を取り繕う俺。


客商売なのに、ウイルスを撒き散らしてると思われても困るので、その都度説明をする。


「ハルちゃーーーん」


「はぁい!今いきまーす」


段々、ご飯ではなく、お茶をしに来るお客の増える時間なので、少し余裕が出来る。


……に、しても呼ばれ続ける俺。