みんな離れてくれたものの……




絵美「何でみんな着いてくるのよ!!!!」




井上「まぁまぁ、落ち着きなさい」



絵美「この状況で落ち着いていられると思う!?一日中コイツらが私にへばり付いてるのにーーーーーー!!!!!!!」




井上「お前達、これじゃあ絵美の鬱憤が溜まるのも無理ない。少し休ませてやりなさい」




藤堂「でもな源さん…」



井上「でももだけどもない。全員出なさい」



有無を言わせない源さんの言い方に全員渋々出て行った。



井上「あいつらが済まないねえ」




絵美「源さんは謝らなくて良いの。それに鬱陶しいけど別に幹部のみんなが嫌いな訳じゃないから」



私がそう言うと源さんは目尻に皺を寄せて優しく笑った。




絵美「何でまた…私にベタベタするようになったんだか……」



井上「…何となく、気づいてるんじゃないかい?」



絵美「……え?」




井上「アレが彼等の愛情表現なんだよ」




絵美「愛情表現……?」




気付いてるって何を?



愛情表現って何が?



絵美「え、ちょ、何、どういうこと?」



井上「まあ、落ち着きなさい」



そう言って優雅にお茶を啜る6番組組長、井上源三郎。



井上「絵美は気づいていないのかもしれないが、この時代では考えられないくらい美しいんだ」



絵美「なんなんなの、みんなして。最近そればっかり…」



井上「それにお転婆でお騒がせ者なのにいつも皆んなを笑顔にする事が出来る力を持っている。みんなそんな絵美に惚れてしまったんだよ」




ふうん…私に惚れちゃったね………






絵美「…………惚れたっ!?」



井上「そうだよ。気づかなかったのかい?」




絵美「全然、全く、少しも気づかなかった」




井上「ハハハ、そうかい」



絵美「………………」



井上「………………」




源さん……続きはどうした!!



そんなニコニコされてたら続きを催促することも出来ん!!




絵美「はぁ…、私はどうしたら良いの?」



井上「それは絵美が考えることだ」




私が考える事……。




絵美「でも源さん…、私は恋がどういうものか…よくわからない…」




愛情と言うものを知らずに育った絵美。




彼女に恋や愛が分かるはずない。




源さんはお茶を一口啜ると静かに湯呑みを畳の上に置いた。





井上「なら…あいつらを見てると良いよ」




見て分かるなら初めから苦労せんわ!!!





井上「あいつらが愛しく想う者にどんな行動をとるか、見てみなさい。そうすればきっと分かるよ」




これ以上は何も聞くなと源さんの目が言っていた為、私は何も言えなかった。




井上「う〜ん。これじゃあやはり難しいかな。仕方ない、少しだけ恋がどんなものか教えてあげよう」



この気まぐれジジイ。



教えてくれるのなら初めから教えろ!!!



とは、心優しい源さんに言えるわけがない。