シュタッ!!!!!!



絵美「烝!!!」




山崎「早よ逃げるで!!走れ!!」




私は烝に置いて行かれまいと必死に闇夜を駆け抜け新撰組屯所に帰宅した。



山崎「今日はよお頑張ったからゆっくり休めな?」



絵美「烝…私、何も情報得られなくて…試験は不合格だよね……」




山崎「……絵美はよおやった。今回は相手が悪かっただけや。潜入捜査以外は完璧やったから合格にしたる」



絵美「潜入捜査以外は…って…」



山崎「細かい事は気にせんでええねん。わいが合格言ってるんやから早よ休みい」



絵美「……………ありがとう。お休み、烝」




山崎「お休み」




こうして長い、長い夜は更けていった。





………………………………





チュンチュン チュンチュン



絵美「ん〜……どわぁっ!!!」




沢山の整った顔がどアップで…!




藤堂「絵美、昨日の夜どこに行ってたんだよ」




絵美「気づいてたのね。遊郭よ」



永倉「何でお前が遊郭行くんだよ!!」



鼻息を荒くして言う新八を思いっきり睨みつけてやった。



絵美「何変な事考えてんの。入隊試験みたいなもんしてた」



沖田「それを何で遊郭でやるんですか!」




絵美「昨日は長州の奴等がたんまりといたから潜入捜査」




原田「大丈夫だったのかよ」




絵美「うん。高杉に肩組まれたけど他は何もなかったし大丈夫」



私がそう言うと幹部たちの動きが止まった。




絵美「え、何、どうしたの?」




斎藤「絵美、今すぐ風呂に入ると良い」



藤堂「そうだな。昨日風呂入れてないんだろ?俺が見張っててやるから入って来いよ」




有無を言わせない強い口調の幹部達に私は無理矢理お風呂に入らされた。




まだ土方さんに報告出来てないのに…。




後で怒られる…っ!




早く上がらないと!!!




私はマッハで着替えまで済ませて土方さんの部屋へ向かった。




スパンッッッッッッッ!!




絵美「土方さん!!」




土方「何だお前…報告の前に優雅に風呂か?」




絵美「ごめんなさい。無理矢理入らされて…」




土方「ったく。一応山崎から報告は受けてあるが…何か他にあるか?」



絵美「ううん、ない。でも…何で私の情報があんなに…」




土方「さあな。だが、これからは出来るだけ外に出るな。長州の奴等に連れ去られでもしたら大変だからな」




絵美「分かった。何で…みんな私なんかが欲しいんだろうね。ただの一般市民なのに」



土方「先の世の者の考えが欲しいんだろう。それと…高杉が入っていた通り、この世ではあり得ないくらいの美貌の持ち主だからな。側に置いておきたいんだろ」




絵美「…………新撰組のみんなも……」



土方「あ?」



絵美「……ううん、何でもない」




-新撰組のみんなも…私のことをそんな風に思っているの?-




そう聞こうとしたが肯定されてしまったら立ち直れなくなりそうだったので最後まで言えなかった。




絵美「私、もう行くね」




私は立ち上がると襖に手を掛けた。




土方「俺達はお前の頭じゃなく存在が必要なんだよ」



スパンッ




土方はそう、襖が閉じる直前に言った。