スーーーー




君菊「君菊どす」



な、名前考えてない!!!



どうしよう…えーっと……















絵美「う、梅どす」



お梅さん、少しお名前借ります。




「おぉ〜上玉〜」



そう言って酔っ払いに肩を抱かれる私。



絵美「(気持ち悪いな。その薄汚い手を退けやがれ)お晩どすぅ。あんさんお侍さんなん?」



高杉「そうだ。俺は長州藩士、高杉晋作っつうの。覚えといてくれ」




い、いきなりお偉いさん来たーーーーー!!!




絵美「長州のお方なん?うち、長州のお方にお会いするの初めてなん。嬉しぃなぁ〜」





だ、ダメだ。



全っ然廓言葉じゃない!!



仕方ない、気合いで乗り切るか!!!!




高杉「そうかぁ?じゃあ色々語ってやろう。でも……壬生狼の回し者に色々話しちゃ俺の身が危ねえか」





い、今コイツ何言いやがった?




絵美「壬生狼の回し者?どこにいるん?」




高杉「お前だ馬鹿野郎」





絵美「え"…」




何コイツ。



私達初対面の筈ですけど。




初対面の人に馬鹿野郎?




って、そんな事言ってる場合じゃない!!




絵美「や、ややわぁ高杉はん。うちが壬生狼の回し者?」



高杉「お前、アレだろ?一橋慶喜公に気に入られていた時渡りの女だろ?」




絵美「…時渡り?そんな事出来るお方がいるんどすか?」




高杉「あぁ。俺の記憶が正しけりゃそいつの名前は胡桃沢 絵美。黄金色の髪をしていて四月で免許皆伝を取得したらしい」




絵美「お強いんどすなぁ」




な、何故。



私の情報が長州に!!!




絵美「なんで彼女を知っとるん?」



高杉「噂だ。先の世から来た女子だからな、長州に置いておきてえよな。壬生狼のとこに置いといちゃ勿体ねえ」




ギュッと高杉が私の方を抱く腕に力を込めた。



高杉「お前なんだろう、胡桃沢 絵美は」




絵美「………どうして私を知ってるの」




高杉「言っただろ、噂だ」




絵美「噂だったら私の顔を知らないはずよ」




高杉「………お前、中々賢いな」




奴はフッと笑うと力を緩めた。




高杉「お前の廓言葉が破滅的だったのと、この時代ではあり得ないくらいの美貌の持ち主だからな」




何だコイツ。




目ぇ腐ってんのか!




気持ち悪い!!!




絵美「見え透いたお世辞言われても嬉しくないから」




高杉「フッ。黄金色の髪…見せてもらおうじゃねえの」




そう言うと高杉は私の鬘をとった。




絵美「何をっ…!」





光の速さで高杉から鬘を奪い返し頭に装着したが時すでに遅し。




ここにいる大半の長州藩士に私の髪を見られてしまった。




高杉「お前はもう逃げらんねえ。俺と共に長州に来い」




絵美「ふざけんな。誰が行くか!!」




「お前!!高杉先生に何を言う!!」



「高杉先生の言う通り、長州に来るんだ!」



絵美「誰が行くかタコ!私は新撰組なんだ!てめえら雑魚のとこなんか行けっか!!」




「何をぉ!!」




怒りに震えた長州藩士達はいよいよ抜刀してしまった。




まずい。




逃げなきゃ!




私は窓?を勢いよく開けると二階から下へ飛び降り、路地裏へ駆け込んだ。