ーーーーーーーーーーーー



山崎「絵美、早う起きい!」



絵美「んー……」




私を真夜中に起こすクソ野郎は山崎烝。




絵美「何なのー……?」



山崎「試験や」




絵美「…しけ…ん…ね…zzZ…」




山崎「…………………」




ベシッ




絵美「…った!!!」





…………………………





山崎に叩き起こされた絵美の額の中心部分はほんのりと紅く染まっている。



絵美「手加減なしだもんね…」



おでこを摩りながら山崎を睨みつける絵美。




山崎「早う起きん絵美が悪いんや。わいは何も悪くない」




コノヤロ…。





絵美「で?試験って何するの?」




山崎「今日は遊郭に長州浪士がぎょうさん集まってるさかい情報収集や」




絵美「ま、まさか…」




山崎「そうや。絵美には遊女の格好をしてもらう」




絵美「やっぱり…。私、廓言葉話せないよ?」




山崎「見様見真似で何とかやってくれ」




絵美「そんなあ…」




…………………………………





君菊「とぉっても綺麗どすなあ」





絵美「…ぁ…あ……これが…私?」




君菊「そぉや。これなら天神なみやで?」



絵美「…み……醜い…っ……」





君菊「失礼な子やね。うちがせっかく化粧してやったのに…」



絵美「あ、ごめんなさい。そうじゃなくてお化粧は綺麗なんだけど私に似合ってないな…って……」




君菊「あぁそうかい。どっちの言葉もうちは傷付くけどな」




絵美「着物も重い。鬘なし?」



君菊「あんさんみたいな髪は隠さなあかんから鬘は必要に決まっとる。着物は我慢しい」



絵美「私本当に大丈夫かなぁ……はぁ…」



君菊「(この子鈍感にも程があるやろ。こない綺麗な顔しはってるのに…うちに喧嘩売っとるんか)ほな、行きまひょか」



絵美「はぁーい」




君菊さんに連れられて私は長州浪士達の元へと足を進めた。




今夜は長い。