スパンッ




土方「絵美、一橋公が迎えに来て下さった」




とうとうこの日が来た。



新撰組の皆んなとはお別れだ。




まだ屯所を出てもいないのに悲しくてたまらない。




絵美「今、行きます」




何とか涙を堪えて笑顔を作る。



土方「んな顔すんな」




絵美「えへへ、土方さんにはお見通し?」




土方「皆んな気づいてるだろ。お前は分かりやすいからな」




絵美「そうかな?左之や新八辺りは気づいてないんじゃない?」




土方「嫌、アイツらは馬鹿だが組長だ。それぐれえ気づくだろ」




絵美「そっか、あんなんでも組長なんだもんね」




スパンッ




永・原「「俺等は馬鹿じゃねえ!!!」」





絵美「フフフ、知ってます。冗談だよ」




斎藤「副長、絵美、一橋公がお待ちです。そろそろ…」




絵美「はいは〜い。今行きます」



私は少ない荷物を纏めて客間へ向かった。




スパンッ




ガコンッ




絵美「〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」




土方「馬鹿野郎!声を掛けてから開けろといつも言ってんだろ!!!!一橋公、もうし訳ありません」




慶喜「嫌、構わん。それより土方、女子に手を挙げるとは感心できないな」




土方「申し訳ありません」




絵美「お初にお目にかかります。胡桃沢 絵美です」




慶喜「お前の噂はよく聞いている」




絵美「恐縮です」




慶喜「二条城の中にお前の部屋を造った。そこには風呂、厠があり待女を2人着けた」




さ、流石一橋慶喜……。




やる事が凄い。




絵美「わ、私、六畳くらいの部屋で全然良いんですけど!!!」




慶喜「いや、未来から来た姫だからな。大切に扱わなくては」




絵美「いや、いやいや!!姫なんてそんな、柄じゃありませんから!!!」




慶喜「良いんだ、お前を買ったからにはそれなりの待遇が必要だ」





"お前を買った"





まるで私を物かのように言った慶喜に私は今まで感じたことのない怒りを感じた。




絵美「お言葉ですが、私は物ではありません。これから私を物の様に扱うのであれば今回の話はなかったことにして頂きたい」




近藤「絵美!何て事を言う!!!」



絵美「これは大事なことです!」



私が反論すると近藤は押し黙った。




慶喜「お前に不快な思いをさせたのなら謝ろう。悪かった。俺と二条城へ来てもらえるか?」




絵美「………はい」




慶喜「では、そろそろ向かうか」






いざ、二条城へ!!!!!!