スパンッ




永倉「おう、近藤さん!どうした?」




原田「顔色真っ青だぜ?」




近藤「あ、あぁ大丈夫だ。それよりも絵美、俺の部屋へ今すぐ来てくれるか?」



絵美「私…ですか…?」




近藤「あぁ、出来るだけ早く来い」




スパンッ





全員「…………………」



原田「お前、何かしたのか?」




絵美「い、嫌だな!何言ってんの!何もしてないわよ!」




斎藤「そう言えば……お前、この間近藤さんのお気に入りの湯呑みを割っただろう?」




絵美「ゲッ、何でそれ知ってんの!?」




斎藤「見ていたからだ」





井上「それより早く行った方が良いんじゃないかい?」




絵美「そうですね…行ってきます。切腹させられちゃうのかな…」




永倉「まぁ、その位の覚悟を持って行くんだな。」




絵美「励ましてくれてどうもありがとう」




永倉「お安い御用よ!」




私は永倉の発した言葉に反応することもなくヨロヨロと近藤さんの部屋へ向かっていった。




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スパンッ



絵美「失礼します…」



近藤さんの部屋へ入ると中にはコメカミを抑えて首を左右に振る土方と溜息を吐く山南と未だに顔面蒼白の近藤さんの3人がいた。



絵美「えーっと…、私何かしましたか?」




近藤「いや、そう言うわけじゃない。まぁ座りなさい」



絵美「はい……」




山南「本当に大丈夫ですかねえ…」




土方「俺は何故こんな奴が欲しいのが気が知れねえ」



何なんだ一体。




さっきから3人とも私の顔を見れば溜息を吐いて!



絵美「用がないなら帰りますよ」



山南「用ならあります。只、非常に言いにくいのですが…」




近藤「実は…、一橋慶喜公がお前を欲しいと言っておる」




あぁ、何だそんな事。





………………って、





絵美「はぁ!?」




ひ、一橋慶喜って十五代将軍の徳川慶喜の事よね!?




絵美「え、待って、何で、どうして!?」




山南「まぁ、落ち着いてください」




近藤「実は先程松平公から急なお呼び出しがあってな、容保公がお前の話を慶喜公にしたら偉くお前を気に入ったらしくてな?だから…その……」




あぁ、なるほどね。





絵美「金をつぎ込まれたんですね」





近藤「すまん!勢いで了承してしまったんだ!」




絵美「別に良いですよ。いずれ行くつもりでしたから。でも……、こんな形で出で行きたくはなかった。私のお父さん的存在の人に売られるなんてね…」





スパンッ





土方「まぁ、アイツが怒るのも無理ないな」




山南「父親のように募っていた人に売られたら誰でも傷つくでしょう」




近藤「歳に山南君まで……!」




土方「絵美んとこでも行くか」




山南「私も行きます」




近藤「そ、そんな……」




スパンッ