その後、壬生浪士組改めて新撰組となった私達。



近藤さん達は泣いて喜んでいたが私一人だけ、喜ぶことはできなかった。




「絵美、お茶が入ったよ」




絵美「源さん、いつもありがとう」




井上「なぁに、気にするな」




芹沢さん亡き後、泣きはしないものの闇に囚われていた絵美に歩み寄ったのは源さんこと井上源三郎だった。




絵美「ねぇ、源さん」




井上「何だい?」



絵美「私、時々思うの。何故ここに来たんだろうって」



井上「………………」



絵美「ずっと分かんなかった。でもね、剣術を始めて思ったの。もしかして、私のするべき事はこれなんじゃないか?ってね。そしてこの気持ちは芹沢さんの死を通してハッキリした。私はこの血に濡れた世を変える為に来たんだってね」




普通の人なら女子には無理だとか、女のお前に何が出来るとか言うのだろうが井上は違った。




井上「良いんじゃないかい?絵美なら出来ると思うよ」



絵美「源さん……」




私は芹沢さん亡き後、初めて泣いた。




源さんの腕の中で。




井上「お前が来てから泣き虫な妹が出来た気分だよ」




絵美「フフフ、いつも迷惑かけてごめんなさい」




井上「良いんだよ。誰も迷惑なんて思ってないさ。まぁ、思ってる奴もいるだろうがな」




絵美「あ!源さん酷ーい!」




井上「ハハハ、冗談さ」




原田「何か楽しそうだな!」




絵美「あ!左之だー!」




永倉「俺たちもいるぜ!」




絵美「新八に平助!一まで!どうしたの?」



藤堂「じゃん!これ何だー?」




絵美「っっっ!みたらし団子!!!」




斎藤「お前のためにみんなで買いに行ったんだ」




絵美「嬉しい!!ありがとう!!!いっただっきまーす!」




私は無駄に大きな声で叫ぶと大好きなみたらし団子を頬張った。



絵美「おいふぃ〜〜!」



井上「これこれ、食べながら話さない。行儀が悪い」



絵美「ゴックン)は〜い!あ、一いらないのー?もらっちゃうよー!」



絵美が斎藤の団子に触れようとすると光の速さで取られてしまった。




バビュンッ




斎藤「食の恨み程恐ろしいものはないと思っておけ」




絵美「は、はい…」





私はみたらし団子が齎した幸福に身を包まれていたせいでこれから起こることなんて全く予想出来なかったんだ。




原田「そう言えば何か近藤さん様子がおかしいと思わねえか?」




藤堂「そうか?」




永倉「そう言えば、ついさっき会津藩邸に行くって血相変えて出てったぜ」




絵美「ふーん」





ほら、もう時間は迫ってる。