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絵美、この手紙を書いたのは芹沢はんから勧められたからなの。




あのしとらしくへんでっしゃろ?




うちがなんぼ恋文を出しても返事をくれやらん人なのに。




うちに話しかけてくれた女子は絵美が初めてやった。




遊女として郭で働きとる時もどなたはんシトリとしてうちに話しかけてくはる人はいなかったわ。




あんたはんはうちの最初で最後のお連れよ。



というよりも親友で 娘みたいな存在やったわね。



うちは絵美が大好きやった。



ほんでこれからもずっと大好きよ。




うちはこれからあのしとと幸せになるわ。




ずっと、ずっと絵美の事を見守っとる。




ほんで死んかて尚、絵美の中で生き続けるわ。




絵美がうちらを忘れへんでいてくはる限りずっと生き続ける。



最後に絵美、おおきに。



こへんなうちとお連れになってくれて、おおきに。







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絵美「どう……して…、この時代の人はこんなアッサリしてるのかな…」




私は額を手で抑えながら必死で涙をこらえようとしたが出来なかった。





芹沢さん、お梅さん、貴方達の考え方は本当に正反対ですね。



芹沢さんは忘れろと言い、お梅さんは忘れないでと言った。




でも私が今読んだ文はどちらも涙で湿っていて、所々文字が滲んでいました。




私は芹沢さんもお梅さんも大好きです。




これからもそれは変わりません。




そして永遠に貴方達を忘れることはありません。



芹沢さん、お梅さん、お幸せに。



もう何も貴方達を引き裂くような困難はありません。




どうか、お幸せに。