「お前、芹沢さんが本気で戦ったと思っているのか?」
絵美「………平山さん…」
平山「芹沢さんは手加減をしてくださったんだ」
絵美「…だから何ですか?」
平山「……は?」
絵美「そんなの知ってますよ」
平山「お前悔しくないのか?」
絵美「いいえ、まだ剣術は始めたばかりですし芹沢さんに勝てるなんて思ってませんから」
私がそう言うと平山は悔しそうに顔を歪めた。
平山「そうだ。お前、俺と試合しろ」
絵美「……嫌です」
平山「もしもお前が勝ったら…、お前の監視を辞めてやる。というより、お前に関わるのを辞めてやる」
絵美「……私が負けた場合は?」
平山「ここから出て行ってもらう」
どうする…負けたら追い出される。
でも勝てば平山の呪縛から解放される…。
絵美「…………………良いですよ」
平山「良し。審判は誰にしてもらおうか…。あ、斎藤さん!審判お願いしても宜しいですか?」
近くにいる斎藤に声を掛けると二つ返事で了承してくれた。
そして斎藤の掛け声と共に踏み込む。
ガンッ
絵美「……っ…」
平山「おやおや、腰が引けているぞ?」
平山から一旦距離を取るも、それを許さないからのように素早く打ち込まれる。
このままだと追い出される…っ……!
そんな時、頭の中に芹沢の声が蘇る。
"竹刀の動きをよく見ろ"
"相手の動きを気で感じるんだ"
そうか!
平山「随分と余裕だな」
絵美「わっ!」
平山の攻撃を何とか避けながら竹刀の動きを見続けた。
絵美「!!!!!」
私は素早く平山の竹刀を避けると面に強く打ち込んだ。
ーーーーーー…パァァァァァン!!!!
斎藤「そこまで!勝者、胡桃沢!」
絵美「勝った……」
カラン…カランカラン
平山「何故……」
絵美「平山さん、貴方はいつも打ち込む時に隙が出来てます」
平山「………………」
絵美「もう私に関わらないで下さいね」
平山「くそっ!!!!!」
今までで1番の微笑みを平山に見せると悔しそうに顔を歪めた。
斎藤「絵美、良くやったな」
絵美「うん!一、審判ありがとう!」
斎藤「あぁ」
芹沢「胡桃沢の奴、中々やるな」
近藤「そのようですね」
影で2人の局長が試合を見ていたことを絵美は知らない。


