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あれから早一週間、私はまた新たな嫌がらせに悩まされていた。




梅「絵美、顔色悪いわよ?ちゃんと寝れてはるの?」





絵美「あんまり寝れてないかな。お梅さんが毎日私を朝早くから連れまわすから…」




まぁ、嘘だけどね。




寝不足なのは本当だけど。




梅「堪忍どっせ。あとちびっとしかいへんから想い出を作りたかったのよ…」




絵美「……今なんて言っt…」




梅「さぁ、次行きまひょ!」




お梅さん…もしかして、もうすぐ自分がこの世を去ることに気付いているの?




だから毎日、毎日、私を色々なところへ誘ってくれているの?




それを聞こうとしたが、お梅さんはそれを拒むかのようにして話題を変えてしまった。






夜、八木邸に来てから1人部屋を貰った私は布団の上で寝返りばかりうっていた。




絵美「…チッ」




原因は屋根で私を見張っている奴だった。




絵美「(私を観察していたって面白いものなんてなんもないのに…。いい加減うざいな)」




私は護身ようにと芹沢から貰った短刀を天井目掛けて投げつけた。




《ギャァァァァァァァアっっっっっっ!!!》




絵美「(フフフ…、ビンゴ♪)」




私は布団に潜り込み、一人笑いを堪えていた。



ーーーーーー……

ーーーーーー…………



チュンチュン


スパンッ




絵美「ん〜〜、お梅さん、後三刻だけ寝かせて〜〜」




梅「何阿呆なことぬかしてるの!ほら、段取りして!!! 」




……………

……………………




絵美「お梅さんの鬼……」



梅「何やて?」



絵美「何でもありませーーん」



お梅さんから発せられた声はあまりにも低くて、流石の私も何も言えなかった。




絵美「今日はどこに行くんですか?」



梅「たまには贅沢もええわよね?」




それから私が何しに行くのかしつこく聞いてもお梅さんは答えてはくれなかった。




そして私が連れてこられたのは屯所から少し離れたところにある甘味処だった。





そしてお梅さんが頼んだのは……




絵美「カキ氷……?」




梅「絵美、食べたことへんでっしゃろ?」




絵美「………そうだね」




本当は夏に毎日のように食べていたけどね。



当時、カキ氷は高額であまり食べられていなかったから食べたことがないことにしておこう。




梅「冷たくて美味しいねぇ」




絵美「うん!お梅さん、連れてきてくれてありがとう!」













私はこの時…お梅さんと過ごす時間が楽しすぎて、あの"事件"の存在を忘れていたんだ。