終戦後、私と原田は奇跡的に一命を取り留めた。




刀が使えなくなった私は新撰組を引退した。




と言っても屯所暮らしは変わらないので、今は女中として新撰組を支えている。




死の瀬戸際を彷徨った日からは何年も過ぎ去り、慶喜は政権を天皇に返した。




武士も廃止され、新撰組は警視庁として活動をしている。





「母上ーーー、見て見て!つくしが咲いてる!!」




絵美「わぁ、本当だ。もう春だね〜」




そう言って私は愛娘の小夜の頭を撫でた。




すると突然ヒョイっと小夜が持ち上げられた。




小夜「うわっ!父上!!驚くから急に持ち上げないで!!」





原田「ククッ。怒った顔が絵美そっくりだな」




そして私のお腹には2人目の小さな命が宿っている。




沖田「小夜ー、こっちおいで!お団子あげる」



永倉「小夜はこれから姉ちゃんになるんだからいっぱい食べてでかくなれよ?」




久坂「永倉!それは俺の団子だ!!」




私と原田の好きだった丘は気づけばお花見の穴場スポットとして活用されるようになっていた。




私と原田の娘の小夜もみんなから愛され、すくすくと成長していた。




もちろん幹部からは剣道を徹底的に叩き込まれている。




絵美「幸せだね」




原田「あぁ。俺が今幸せでいられるのは全部お前のお陰だ。ありがとな」





そう言って額を合わせて微笑んだ。




土方「いつまでもくっついてねえで2人もこっち来い!!」




藤堂「絵美ー、俺の隣来いよ!」





高杉「いや、俺の隣にくるよな?」




どんちゃん騒ぎのみんなを見て笑みを零すと私達は手を繋いでみんなの輪の中に入った。






死んでから新たなスタートを切った私の第2の人生は、大きな試練もあったが世界中の誰よりも大きな幸せを得た。




笑って、泣いて、全ての感情を共に共有して来た仲間。




新しく築いた家族。





誰もが求める幸せを動乱の世、幕末で手に入れた。




絵美「みんな、ありがとう」