原田「かかって来やがれ!!!」
原田が声を張り上げると一斉に襲いかかって来た。
ものの数分で片付けると左手で刀を地面に突き刺し右手で肩を抑えながら膝をついた。
絵美「はぁ…はぁ…」
原田「絵美、大丈夫か?」
心配そうに私の顔を覗き込む原田。
絵美「だい…じょ……ぶ……」
ジャリっ
呼吸を整えようとゆっくり深呼吸していると足音が聞こえた。
ゆっくりと顔を上げて見るとそこにはあの男が立っていた。
「随分お疲れみたいですね」
絵美「伊東…」
埃1つ着いていない綺麗な袴を着て私達を見下ろす伊東。
伊東「あなたを弱らせる為に多くの部下を犠牲にしてしまいました」
伊東はかわいそうに、と事切れた男たちを見て額を手で覆った。
伊東「あなたは私の手であの世に送って差し上げます」
ニヤリ、と背筋が凍るほど気持ちの悪い笑みを浮かべた。
原田「お前に絵美は殺させない」
原田が絵美を背に庇うようにして前に立ち、槍を伊東に向けた。
しかし原田も身体中に傷を覆っている。
2人で戦ったとしても勝ち目はない。
絵美「左之だけでも逃げて。伊東の狙いは私だから…」
原田「ふざけたこと言ってんじゃねえ。自分の女も守れずに武士が逃げてられっか!」
絵美「でもそんな傷じゃ…」
原田「俺は10番組組長、原田左之助だ。そんな簡単には負けねえ!!!」
そう言うと伊東に斬りかかった。
ガキンッ ガキンッ
伊東「傷だらけのあなたがこの私に勝つだなんて……随分私も舐められたものですね」
原田の攻撃を軽々と交わす伊東からは余裕が伺えるか原田は息が上がり、動きもいつもと比べてだいぶ遅い。
どうしたらいい。
助けを呼ぶ時間はない。
私が間に入ったところで足手まとい。
一体どうしたら……。
原田「うぐぁっっっ!!!!!」
疲れて動かない頭をフル回転させて考えていると伊東の刀が原田の肩を貫いた。
絵美「左之ーーーーーー!!!!!」
グリグリと刀を左右に動かし原田を痛めつける伊東の口元には笑みが浮かんでいる。
苦しむ原田と泣きじゃくる私を見て楽しんでいるようだ。
絵美「許せない…伊東っっっ!!!!」
声がひっくり返るほど叫ぶと体の傷も忘れて伊東に斬りかかった。
絵美「お前は私が殺す!!!!」
伊東「ふっ。あなたは私が思っていた以上に頭の弱い子みたいですね。良いでしょう、その度胸だけは買ってあげます」
絵美「ゴチャゴチャうるさいんだよ!!!!」
ガキンッ ガキンッ ガキンッ
ザシュッーー…
絵美「はぁはぁはぁはぁ」
伊東「己…」
伊東の頰に一筋傷をつけると狂気に満ちた顔で私を見つめてきた。


