高杉「こんな状態のお前を放っておけるか!!!」



絵美「バカなの?!あんたはこの数百人の命を預かる頭でしょ!!!!私は大丈夫だから!」




尚も悩んでいる晋作は私を離さない。




絵美「行って…」




高杉「……………」




絵美「行けっ!!!」




思いっきり叫ぶと晋作は私を思い切り抱きしめた。




高杉「絶対死ぬなよ」




絵美「わかった。晋作も気をつけて」





高杉の隊を見送ると撃たれた箇所を応急処置だけしてすぐに追いかけた。




ちゃんと止血をせずにさらしを巻いたからあっという間に白かったさらしは赤黒く染まった。




絵美「…もう……なんで……」





ポタポタと地面に血を落としながら次々に襲いかかる敵を薙ぎ倒して行く。




刀に着いた血を振り払うと、遠くで銃を構える敵兵が目に入った。



逃げたところで到底間に合わない。




パァァァアァァァンッ




球の威力で地面に叩きつけられたがどこも怪我をしていない。



球が当たったであろう胸元に手を伸ばすと原田からもらった櫛が2つに割れていた。




嫌な予感がする。




体を巡る血が騒いでる。




思考が完全に停止していると目の前まで敵が迫っていた。




ガキンッッッ




慌てて応戦するも体がうまく動かない。




ザシュッ




絵美「う"ぁっ……」




お腹を切られた。




敵がとどめを刺すために刀を振り上げた。



間に合わない…




ギュッと目を瞑ると肉を切る音がした。




しかしいつまでも痛みは来ない。




恐る恐る目を開けると返り血を浴びた土方がいた。




土方「馬鹿野郎が!!!死にてえのか!!!!!」





絵美「…っ……」





死なない、死ねない、死にたくない。




土方に怒鳴られると弾かれるようにして走り出した。




頭の中には原田のことだけ。




肩や腹に受けた傷の痛みは全く感じない。




ひたすら走り続けると血濡れで取り囲まれた原田の姿が目に入った。




絵美「左之!!!」



原田「絵美?!馬鹿野郎が何やってる!!逃げろ!!」




原田が一瞬だけ私に視線を向けた途端、原田を取り囲んでいた敵が動き出した。




絵美「ダメーーーーーッ!!!!」




苦無を投げ、数人倒すことができたがいくら原田でも無理のある人数が残っている。




慌てて駆け寄り原田と背中合わせで刀を構えた。




原田「相変わらず無茶ばかりしやがる」



絵美「私達夫婦になるんでしょ?支え合わなきゃ」




原田「仕方ねえな。死ぬなよ」



絵美「当たり前!」





左之が槍を構え、私は刀を構える。