絵美「左之、気をつけてね」



原田「おう。お前も勝手な行動をとって晋作に迷惑かけんなよ」




相変わらずみんな心配性だな。




絵美「大丈夫だよ。絶対死なないで」




原田「俺は絶対に生きて帰らなきゃいけない理由があるからな。そう易々と死んではいられねぇよ」




そう言ってわしゃわしゃと頭をかき混ぜられた。




私達はこの戦が終われば夫婦になる。




それは武士として戦いに身を投じていた私達が命を大切にする理由となった。





神様、どうか私達をお護りください。





国の為に、民の為に命を懸けて戦う私達を。





…………………………………………





絵美「晋作、私は伊東の本拠地を少し見てくる。私が戻ったら攻撃を開始して」



高杉「おう。気をつけろよ」




絵美「承知!」




4つの地点に絵美、山崎、島田、林の監察方が1人ずつ配置されている。





私達はまだ日が昇る前に伊東の本拠地を張り、伊東が動きを見せたらそれぞれの陣に戻り攻撃の合図をする。




山崎「絵美、絶対に無理したらあかんで」



絵美「…………大丈夫だって。私は絶対に生きて帰るから」



島田「今の間が大丈夫には思えませんね」




絵美「今の間は呆れて言葉が出なかっただけ!みんなが無駄に心配してくるから」




はぁ、と溜息を吐くと3人の鋭い視線が突き刺ささった。




島田「無駄にって言いますけどその無駄に心配を掛けさせるのはどこの誰ですか?!」



林「呆れるのはこっちだ」




絵美「はいはいはいはい」




日の出とほぼ同時に伊東を筆頭に大軍が出て来た。




絵美「晋作や玄瑞の兵も出しておいてよかった」




これが最終戦だ。



どちらも限界まで兵を出している。



山崎「ほな、組長たちのとこ戻んで。みんなくれぐれも気をつけろ」




絵・島・林「御意」




山崎の命でそれぞれは陣へ戻って行った。




できるだけ目立たぬよう物陰に隠れながら高杉の元へダッシュする。




夢中で走っていたから気づくのが遅くなった。



朝日に反射した銃を見るまで。





パァァァアァァァンッッッッッ





絵美「っく…!」



左肩を弾が貫通した。




私とした事が油断していた。




私の伝達を待つ晋作逹がいる。




こんなところで寝てられない。



絵美「くっそ……!!!」



3本の苦無を投げると頭、喉、胸に全て刺さった。



私はそのまま高杉の元へ急いだ。





絵美「晋作っっっ!!!」



高杉「お前っ!どうしたその傷は!!」





晋作は私を見るなり血相を変えて倒れ込んだ私を抱きとめた。





絵美「ちょっと…撃たれただけ。私のことはいいから早く!」