同じような状況が半年余り続いている中、未だに伊東を目撃した者はいない。




高杉「畜生!あの野郎コソコソとネズミのように這いずり回りやがって」




古高「多くの死傷者が出てる上に他の者も疲労困憊で動ける兵は少ない」




兵ももちろんそうだが幹部も疲労がたまりピリピリとした緊張感が常に漂っていた。




絵美「確かにまともに動ける兵は少ないけど条件は相手も同じはずよ。このまま長引かせるわけにはいかない」




慶喜「何か策でもあるのか?」




そう聞いて来た慶喜の目の下には隈が浮かんでいる。




こんなに長引かせる予定なんてなかったのに。




伊東甲子太郎……絶対に許さない。





絵美「監察方を総動員させて。効率は悪いかもしれないけど全ての箇所に監察方を配置して伊東の居場所を割り出します」



土方「まかさそれにお前も参加するだなんて言わねえよな。大体監察は今人手が足りてねえ。1人でも抜けると困るんだよ」





監察方も今回の戦で大分死んだ。




人手が足りないのは百も承知だ。




絵美「なら他に策があるの?」




土方「拷問部屋にいる奴らがいるじゃねえか」




確かにこっちに被害がなく出来ていいかも知れない。





でも…




絵美「内部の情報すら吐かない奴らが伊東の居場所をアッサリ吐くと思う?」





桂「確かにな。ならここは絵美に頼むとしよう」




は?



なんで私?



久坂「絵美が適任だな」



だからなんで?



慶喜「確かに帝と将軍家を和解させた絵美になら出来るかもな」




絵美「みんな買い被りすぎだよ。慶喜と帝が歩み寄ったから出来たことで私は何も…」




高杉「何もだと?数年前まで殺しあっていた長州と新撰組を和解させたのは誰だ?」




私だけど…。




うまくやれる自信がない。




坂本「失敗したってえいがじゃ。おまんの思うようにやればええが」



近藤「あぁ。うまくいかないことも人間にはある。だが一生懸命やった奴を責める奴はここには誰もいない」




そこまで言われたら私も断りきれない。




絵美「…わかった。やれるだけやってみる」