山崎「もう少しええやろ、久しぶりやさかい」



早く原田の元へ行きたい気もするが子犬のような目をする山崎を放置していけなかった。




これでも私の直接の上司なのだから呆れてしまう。




山崎「こんな時に言うのもなんやけどな、わいも絵美のこと好いとったんやで」





絵美「…………知ってたよ。でも私はずっと左之が好きだったから、ごめんね?」





申し訳なくて今すぐこの場から逃げたかったがここでちゃんと断っておかなければ山崎は私を諦めて新しい恋が出来なくなってしまう。




山崎「そうやろな。ま、わいも隠してなかったしな」




絵美「えぇ、そうね」




山崎「幸せになりい、ほなな」





それだけ言うと山崎は自室へと戻って行った。




私も部屋へ戻ろう、そう思い立ち上がると壁に体を寄っかからせこちらを覗いてる人がいた。




絵美「さ、左之助さん……いつからそこに…」




原田「山崎に座り直される少し前くらいから」




なら、私達の会話も全て聞いていたのね。




絵美「左之の気配も読み取れなかっただなんて…監察失格だ……。敵に情報を漏らすなど監察方としてあってわならない失態!!!!」




ベシッ




絵美「アダッ!!!」




なんとも色気のない声である。



原田「誰が敵だって?」




デコピンをかました直後に強く頰をつままれた。





絵美「いはい、いはい!はなへ!(痛い、痛い!離せ!」





呆気なく離されるほっぺた。





痛みを和らげるために両手でスリスリと撫でる。



原田「言わなくても分かってると思ってたんだがな〜」




そう言いながら縁側に座る原田。



仕方ないので私も隣に腰を降ろした。




絵美「何が?」




原田「俺達、恋仲だろ?」




絵美「ほとんど初めから聞いてたのね。言わなくても分かる、なんてことはないと思うよ?小さなことだってちゃんと相手に伝えないと。そこですれ違いができちゃうから」




原田「だな」





絵美「烝にバレたから明日には新撰組中に広がってるだろうね」





原田「だろうな、明日は大変だ」




大変だ、そう言いながらも2人は笑顔だった。