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藤堂「やーーーーーーっ!!!!!」



審判「そこまで!!勝者、藤堂!!!」




俺は北辰一刀流伊東道場の門下生だった。




最年少にして最強。


そう謳われていたくらいだ。



そして当時の道場主、伊東太蔵(現在の伊東甲子太郎)にも可愛がられていた。



伊東「平助、また腕を上げたようですね」



藤堂「はい先生!!!」



無邪気な笑顔の藤堂を見て顔が綻ぶ伊東は山南同様に藤堂を息子同然に思っていた。




幼い頃に家を飛び出して来た藤堂にとっても大きな存在に変わりはない。




そしてその後、山南の後を追うようにして天然理心流試衛館に入門した藤堂は兄弟子に囲まれた生活から一変し、仲間意識の強い面子に囲まれた生活を送り、今までに感じたことのなかった刺激を受けたに違いない。




それだけじゃなく元々腕の立つ藤堂を更に鍛え上げたのも仲間の支えがあってのこと。




藤堂にとって近藤を始めとする試衛館一派は伊東と同じくらい大切な掛け替えのない仲間だ。




彼はたくさん悩み、たくさん葛藤して伊東に着いて行くと苦渋の決断をしただろう。




しかし唯一の心残りであった絵美の存在により、藤堂の硬い決断はあっけなく崩れたのだ。




絵美に想いを寄せてから早4年になる。



そんな彼女に冷たく突き放された上に一月弱もの間、会話すらできなかった。




年も近く距離も近かった筈の絵美がどんとん遠い存在となりつつあった。




そしてこの1ヶ月弱で絵美と話すことすら出来ないのがこれ程までに辛く、苦しい事が理解できた。



女の為に己の志を曲げるのか、と世の武士は笑うだろう。




でも俺は笑われても、例えこの淡い恋が実らなかったとしても、絵美のためにこの世を平和な世へと変えていきたいと思った。




これが俺の新たな志だ。




絵美はこれを聞いたらどう思うだろうか。




まず話を聞いてくれるだろうか。




頑張れ、頑張るんだ!



新撰組 8番組組長 藤堂平助!!!!!