原田side



絵美が人を斬った。



アイツはまるで踊っているかのように美しく紅い華を散らしていったんだ。




原田「絵美やめろ!!やり過ぎだ!!」



絵美「え……」




俺がそう言うと彼女はまるで今目が醒めたかのような反応をした。




それで俺は分かった。



絵美は人を斬ることに抵抗があった。




だから彼女には人を斬る時に怒りや憎しみが生まれないんだ。




そして無意識のうちに自分の感情を消し、人を斬る。




俺ら剣客は相手の気を感じ取り行動を先読みして敵を斬るが、絵美にはそう言った感情がない。




だからもし俺がアイツと戦っても勝てるか分からねえ。




絵美「これ…私が……ぁ……ぁ……」





アイツはやっと自分のやったことを理解したのか、カタカタと震えだした。






絵美「……私が……」





原田「絵美、大丈夫だ。しっかりしろ!」





絵美「……こ…ろ……」






ダメだ、俺の声が聞こえてねえ。






絵美「……した……」





原田「大丈夫だ。俺がいるから。大丈夫だ」





俺は気付いたらカタカタと震える小さな女を抱きしめていた。




気づくと腕の中の奴は気を失ったのかグッタリとしていた。





もしかすると俺の中でこの時から何かが変わり始めていたのかもしれない。




だかそれはまだ俺も、彼女もその変化には気付いていなかった。