スパンッ




絵美「土方さん!」




土方「お前、失礼しますくれえ言えねえのか?」



絵美「どうでも良いことは置いといて大事な話があります」



どうでも良い、にイラッときた土方だったが絵美が珍しく真剣だったので何とか堪えていた。




土方「何だ?」



絵美「古高が脱走した事により少し史実が変わってると思うんですよ」



土方「脱走じゃなくてお前が逃したんだろうがコラァ!!!」



絵美「ちゃんと聞いてください!もしかしたら四国屋で会談が行われるかもしれないんですよ!」



土方「あ?だからその件については…」




絵美「念のために松原さんを筆頭に隊士を数名四国屋に向かわせてください」




土方「そうだな…これは俺一人で決められることじゃねえから……、山崎!」




シュタッ!!!!




山崎「何やろか?」




土方「大至急、近藤さんと山南さんを呼んでくれ」





山崎「御意」





烝の視線が少し痛々しかったが無視を貫いた。




絵美「それから土方さん、松原隊には奥沢栄助、安藤早太郎、新田革左衛門の3名を同行させて下さい」




土方「何故だ?」




絵美「池田屋で奥沢は急所を斬られ即死。他2人は池田屋で負った傷により後に死亡」




土方「そうか。近藤さんのことだからお前の意見は確実に取り入れられる」




私もそう思う。


近藤さんは人一倍優しいもんね。



絵美「うん。私もそう思う」




土方「あ、わかってると思うがお前は留守番だからな」




絵美「うん。て、は!?何でよ!?」





土方「お前は人を斬れねえだろうが」




絵美「斬れる!みんなの足手まといには絶対にならない!だってたくさん稽古したんだもん!!」




土方「足手まといだとかじゃねえよ。お前が強いのは充分分かってる」





絵美「じゃあ着いていっても良いじゃん!」




土方「これは遊びじゃねえんだ。お前は屯所で山南さん達と待機だ」





絵美「嫌です!私は池田屋に向かいます!」





土方「何言っても駄目だ。さっさと部屋から出て行け」





絵美「〜〜〜〜〜〜っ!」





土方は怒りに震え、声にならない叫びを上げている絵美を見て必死に笑いをこらえた。





絵美「何で!!!どうして!!!」




沢山私はアイデアを出したのに何で!!!!




女だから?


弱いから?



私だって女を捨てる気持ちで剣の稽古に励んでいたのに!



酷いよ。


これじゃあただの護身術用に過ぎないじゃない!!



柄にもなく涙が溢れてきた。




そんな時、