蔵の中には古高と絵美の2人だけ。




絵美「古高、これを飲んで」



私は持っていた竹筒を出すと古高にそれを飲ませた。




そして簡単な手当てをしてあげた。




古高「何故敵である私にここまでする」




絵美「何でだろう。分かんないけど…あそこまで拷問に耐えていた古高を見ていたら助けたくなったから」




そう言って私は微笑んだ。




古高「ふっ。変な奴だな」




絵美「ねぇ、ここから逃がしてあげるって言ったら貴方は逃げる?」




古高「嫌、私は逃げない。敵に情けをかけられてもな」




絵美「今夜、池田屋で古高奪還の会談が行われる。そこに新撰組が襲撃し、吉田稔麿が殺される。お前には吉田を助けてもらいたい」




古高「流石未来少女。しかし私は逃げない」




絵美「お前は仲間を見殺しにするつもり?」




古高「人聞きの悪いことを言うな。俺は味方の情報を敵に流してしまった。もう彼等に会わせる顔などない」




絵美「奴等はお前の奪還の会談をしている最中に殺されるんだぞ。お前が助けないでどうする!」




古高「だが…」




私は古高が吊るされていた縄を解き、手足を縛っていた縄も解いた。




古高「私はまだ逃げると言っていない!」




絵美「うるさい。貴方の意見は聞いてない。さっさと吉田を助けに行って」




古高「私は……貴方が何を考えているのか分からない。何故敵を助けたいんだ…」




絵美「私がしたいのは日本統一」




古高「何寝ぼけたことを…」




絵美「笑いたきゃ笑えば良い。兎に角、貴方は今すぐここを出なさい。そこに監察方の作った隠し通路があるからそこを通れば誰にも見つからずに外に出られるはずよ」




古高「だから!まだ私は!」




絵美「うるさい。さっさと行け!」




私は無理矢理隠し通路に古高を押し込んだ。




絵美「そろそろ幹部会の刻かしら?早くしないと怒られる!」




私は駆け足で近藤さんの部屋へ向かった。