なぜあいつが泣いてるのかなど当然知らない。


涙は一筋だけ、形の良い頬を伝って行った。


なおも空を見上げている佐藤勇気。


大きな瞳が、星空に吸い込まれそうだ。


苦しい。


胸がぎゅっとなる。でも、嫌じゃ無い。



でも、でも。


隣の家のなんかヤバい感じのヒッキーなんかに、


きゅんとしたりなんて…あるわけ、ないよ。



窓を静かに閉め、カーテンを引いた。


あっちは多分私に気づいていなかった。


あの瞳が、忘れられなくて、


…内心、また会えないかななんて思っちゃったりしてる自分がいる。