不器用な彼と

勇気Side


薄く目を開ける。頭が割れるように痛い。


「あ、起きた。お前、どうした?」


こし、じゃなくて岸との一件を話す。考えてみれば岸にしちゃいい迷惑だ、普通に邪魔だと思ってフードに手をかけたら叫ばれたなんてさ。


「…ってことがあって。謝んなきゃいけないけど、まだ、顔を見せるのが怖い」


「ふぅん。女子に顔見せるとキャーキャー言われるからやだ、ってのは分かるけど…男子にもなの?よく考えてみなよ」


「…そういえば…。岸はいじめてきた奴じゃないし。玉ちゃん、俺、行ってくる」


「あんま走んないでね俺怒られる…って、もういないし」