不器用な彼と

亜紀Side

佐藤勇気のドアをノックする。


しーんとした部屋。物音ひとつ聞こえない。


あれ…。


ガチャリとドアを開け部屋を覗くと、学習机で勉強していた。


「プリントならいらない。出てけ」


「…あのさぁ。…あんたが不登校なせいで、2位の私が委員長なんだけど」


勝「ふーん」


「ふーんじゃないし!…あんた、なんで学校来ないわけ?」


「そっちこそ、俺に何も言わないわけ?」


「…他の女子みたいに、キャーキャー言って欲しい…ってこと?残念、私そんな女子じゃ…」


そこで私の声が遮られたのは、佐藤勇気がばんっと机に手を付いたからだった。


「…んなわけ…ないだろっ」


振り絞るような声。
パーカーが、はらりと取れる。
美形の顔が露わになる。


「そんなこと言われて嬉しい人がいるかよ⁉︎


お前だってどうせ…他の女子に頼まれて俺の私物でも持ってくんだろ⁉︎

もうウンザリなんだよ、そんなのっ…


出てけ!今すぐ家から出てけっ」


反射的に私は叫んだ。