不器用な彼と

勇気Side


保健室の外ドアを開ける。


「はーい。…って、お前」


女子から逃れたいときはよくここに来ていた。


先生が、男性だからね。


玉森先生。俺は玉ちゃん、って呼ぶ。若くて金髪でイケメンで、白衣がめっちゃ似合わない。


「学校来れるようになったんだね~」


そう。そして性格はふわっふわ。


女子生徒は見た目で決めつけて怖がってあまり保健室には行きたがらないから、俺には格好の隠れ場所だった。


「なわけないでしょ。テストだけ」


「ふ~ん。なんか痩せた?つか授業受けてないのに大丈夫?」


「痩せてない。勉強はしてるから大丈夫。ちょっと、玉ちゃんうるさいよ」


「…へーい」


玉ちゃんが職務に戻ったところでテスト用紙も保健室に届けられる。


簡単じゃん、すらすら解いていく。1位を取っても、どうせ学校へ来ないから、委員長系の仕事は2位に繰り下げられるんだろう。