不器用な彼と

勇気Side

海岸で遊んだり、ちょっとした海の家でかき氷を食べたりしてから、眠くなった俺が寝て起きたらもう夜だった。


「健人くん」


「あ、起きた。そろそろ帰ろっか。…あ、勇気。車から降りて上、見てみ」


「…綺麗」


星空。家で、窓枠から見る星空とは違った。


ひとつひとつの星たちが、


一生懸命瞬いている。


「勇気、帰ろう」


どれくらい見ただろう、満足した俺は健人くんの車に乗り込んだ。


「あれ。…匂い…」


「勇気が寝てる間に、近くのスーパーで匂い消し買ってきた。俺も吹っ切れなきゃいけないことがあるからね」


元カノ、のこと?


運転してる健人くん。さっきまで寝てて、眠れない。

「健人くんさ、…俺のことなんでも分かってたりする?見透かしてたりする?」

「な訳ないでしょ」

「じゃあ、少しだったら俺が言ってないこともわかってるの?」

「うーん、たぶん。…たとえば、勇気、お前が学校行かないの、理由いじめじゃないんだろ。…もちろん、いじめがきっかけだと思う。でも、本質的な理由は違うだろ」

「なんだ。…わかってんじゃん」

そうだよ。女子が怖いの。

王子様王子様って無駄に崇めて、話しかければ普通に応対なんかしてもらえなくて、廊下通るとベタベタ触られて、触っちゃった!とかキャーキャーキャーキャー。

それを見た男子が俺に目つけないはずがないじゃん。一気に田舎特有のいじめが酷い男子グループに目つけられて、このザマだよ。


「…さ、着いたよ。」

「うん。ありがと…」

「明日学校行けそう?」

「ん。…行くよ。」

「そう。おやすみ」


優しい笑顔。健人くんには勝てないな、なにがあったとしても。

絶対。