「____『上書き登録完了』」
「何勝手に上書きしてるんだよ!」
「___今日から、僕は『ハル』だから」
「....まぁ、いいけど...正直AIと同じくらい安易だと」
一瞬、何か光のような物が先輩の髪を掠り、向こうの壁に穴が開いた。
「____『ハル』だから」
「うんうん、そうだね!ハル、何て素晴らしい名前だろう!」
冷や汗が見てとれた。
今、確かハルくんの目からレーザービームらしき物が...
「目からレーザービームなんて、搭載した覚えないんだけど...」
「そ、そうなんですか...」
まぁ、何はともあれ、名前を気に入ってくれたようで何よりです。はい。
「___僕、詩鳥の『恋人』になりたいんだけど」
「あの、何の前置きもありませんでしたよね....?」
「____突然の方が『落ちやすい』って、グークル先生が」
「検索してたんかい!」
ハルくんは表情を変えることなく、じっと私を見ていた。
やっぱり似ていて、頬が熱くなるのを感じた。
「____ほら、詩鳥は『愛音』のことが好きなんでしょ?だったら」
「ポンコツッ!何度言ったら」
「ハルくん、良くないよ 」
はっきりと答える。
「それはハルくんに対する気持ちじゃないから、愛音くんに対する気持ちだから。」
「____じゃあ、どうしたら僕は詩鳥の『恋人』になれるの?」
「お互いに、好きになれたら、かな」
「____」
ハルくんの無言に恥ずかしくなって、俯く。
「あっ、えっと....その....ハルくん....」
「_____●REC」
「....へっ?」
「____ただいまの映像を記録しますか?__yes」
「へっ?...へっ??」
「何勝手に映像モードになってんだよ!!」
バコンっと、ハルくんは頭を叩かれて、しかし、次には「保存完了」と言って満足げに笑って見せた。
人間らしく、愛音くんらしく。