「ワンワン!」
「うわっ、!びっくりした〜〜」
俺たちがしみじみと感慨深くというかなにも考えずボーッとしていると、
おばあちゃんちで飼っている柴犬が突然尻尾を振って現れた。
「わ〜〜コタロー、久しぶり〜〜」
俺が駆け寄ると、コタローは嬉しそうに俺の顔を舐める。
ああっ可愛いっ
俺のコタロー!
コタローは小さいころ沖縄に住んでいた時からずっと一緒にいた、俺の仲間なんだぜ。
唯一気に入らないのは
「えっ、こいつコタローっていうの!?俺と一緒じゃん!
イェーイコタロー、お前は俺の弟だ!!」
そうこの浜田と、名前が同じことだ。
「真似すんなよ浜田。」
俺はコタローを抱きながら縁側の端の方で、2人と距離を取りながら
虎太郎の方を睨む。
「えぇっ、真似って、俺悪くねぇし!親に言えし!
しかも俺の方がコタローより歳上だろ!
真似したのはそっちだ!」
浜田がぷんぷん怒って、コタローを指差す。
「やってやれコタロー」
俺がコタローを離すと、コタローは虎太郎めがけて一直線に走り出した。
「わーー!来るナァァ!こいつ俺を襲う気だ!!」
虎太郎もビュンッと逃げる。
「あはははははっ」
めちゃめちゃ楽しそうなコタローと、必死で逃げる虎太郎が面白すぎて俺は声を上げて笑う。
「行け行けコタロー!そんな奴、ぶっ倒してやんな!」
あやちゃんも、楽しそうにヤジを飛ばす。
「はぁ…っ、はぁ…っ、もう無理!!」
広い庭を何周もして、虎太郎が息を切らして膝に手をついたとき、
バシュッ!っと勢いよくコタローが虎太郎に飛びかかった。
「わぁぁ!やめてって!!謝るから!!」
虎太郎が後ろにしりもちをついて、顔を腕で隠しながら怯えていると、
コタローは噛むどころか、ペロペロと虎太郎を舐め始めた。

