ゆうちゃんは、まじでやるの?という顔をして

「…あやちゃん」

と呟いた。


「違う、違う!」

私が否定すると、


「あははは〜、そうじゃない」梨花ちゃんも笑う。


そして梨花ちゃんは、「あ、おはよ〜」といつも仲良くしている友達の方へ駆けていってしまった。



「…忘れた」

ゆうちゃんはそういって、ぷい、と窓の方を向いた。

「嘘!!絶対嘘!」


「ほんとに忘れた」


「あや、までわかってんじゃん!」


「あやこ」

「違う!」

「あやね」

「違う!」

「あやみ」

「違う!」

「あやか」

「ち…そう!」


「ふっ」


窓の方を向いたままのゆうちゃんの肩がうごいて、ゆうちゃんが笑ったのがわかった。

広くて優しい背中。

頬杖をついたまま、こっちをみる。

すこし顎が上がって、Sっ気があるのが妙に色っぽい。


「あ…えと」

自分で呼ばせたくせに、私は戸惑って髪を触る。



ゆうちゃんはそんな私をみたまま、もう一度「絢香」と名前を呼ぶ。


その低くて優しい甘い声に、私は全身が熱くなる。


私が目を上げると、上目遣いになって、

ゆうちゃんが私を見下ろす。


ゆうちゃんの完璧な顔のパーツに怯えて目を逸らすまい、と耐えていると、