「なんで告白オッケーしたことないの?」
「なんでって…好きじゃない、から?」
「なんで好きな人作らないの?」
好きな人って作れるのか??
「さぁ」
「面倒臭いの?デートとか、家でいちゃいちゃとか」
「別に。」
「そうなの」
「でも外出はあんまり好きじゃないなぁ」
「なんで?騒がれるから?」
「うん。」
写真撮って下さいと言われることもある。
コンビニ行くのでも、ジャージなんかで出歩けないのが難点。
「好きなタイプは?」
「さっき言ったじゃん」
「無難で破天荒、以外にもっと」
「もっと?」
「うん、髪は短いのと長いのどっちがすき?」
「んー…長い、かな…でも短くてもいいかな…」
俺はあやちゃんのもっと短いのをイメージしながら言った。
「えー、どっち、私はどっちの方がいい??」
あやちゃんはぐいっと身を乗り出して、目を輝かせる。
元気になってる。よかった。
「ん…どっちでもいい」
…あ、ちょっと目が陰った。
いや、どっちでもいいんじゃなくて、どっちでも似合うと思うってことなんだけど…
「ふふーそっか」
調子を戻して、笑顔で耳に髪をかけるあやちゃんの細い腕を掴んだ。
あやちゃんがビックリしたように顔を上げる。
「どうしたの?」
「どっちも…いいってことだよ」
弱ってるあやちゃんの顔が陰ったのが嫌で、
なんとなく、わざわざ言っておこう、と思ったので言ってみた。
ら、正解だったみたいで、あやちゃんはみるみる満面の笑みになる。
それから、「うんっ」と勢いよく頷いたので、前髪が跳ねて、ふわっと浮いたままになっている。
……可愛い
俺、この数分間で何回欲情してんだろ。
あやちゃん、こわ。

