笑いながら、口の形だけで「なに?」と聞く。


すると、あやちゃんはさらに赤くした顔を隠すように片手を頬に当てて、目をそらして首を振った。


あー、前向いちゃった。

また眠くなっちゃうじゃん。



俺はそう思いながら、ついに観念しようと手で枕を作り、頭をもたげようとした。



その時、


俺の手元に小さな紙が置かれた。


もちろん、となりのあやちゃんから。



俺が顔を上げてあやちゃんを見ると、あやちゃんは反対側を向いてしまっている。


何の気なしに、その紙を開くと、


綺麗な字で「ゆうちゃんのこと、もっと知りたい」と書かれている。




…俺のこと…


いや、あやちゃんが知っていること以上に、別になにもない。


ただの平凡な家庭の平凡な男児である。


あやちゃんみたいに空手や何かに人生を費やしてきたでもないし、

特に何も頑張ってこなかった。

趣味と特技もこれと言ってない。
(強いて言うなら、ゲームにはかなりの労力を費やした)




きっと、俺はみんなが思っている以上にクズだ。


そして、向上心もない。

おまけに勉強もままならず、運動神経も大して良くない。




「………」


なんか、俺ってほんとにクソだな。


あやちゃんの手紙一つで、考えれば考えるほどめちゃくちゃボロが出てきて泣ける。