「えっ、俺こっち…」
「マジカヨ、オワタ」
うぇーいと両手を心の中だけであげておく。
さて、帰りましょうというところで夕と一緒に…といったらまさかの逆方向!
さぁ光はどうする?
『1.一ノ瀬と帰る
 2・空を飛んで帰る
 3・穴を掘って帰る
 4.一ノ瀬と帰る』
…まともな選択肢がねぇ!!
『道具  おやつ』
おやつは夕が走って寄ってくる効果しかねぇ。
「ごめん、行こうか」
「ハーイ」
ああ、きっと今私の目は死んでいるだろう。
こうなりゃ無心だ。無心を貫くしかない。
部活終わりで暗いしあまり人がいないのが不幸中の幸いだ。
そこらの女子に勘違いされてもらっては困る。主に私が。
「ごめんねー、わざわざ…。遠回りじゃない?」
「大丈夫だよ。それより少し遅くなっちゃったけど家の人は大丈夫?」
「一人暮らしだから大丈夫だよ」
「そうなんだ?いいね、一人暮らし、俺もしてみたい」
「自炊は大変だよ。それに一ノ瀬君の場合そんなことしたら女の子が押し寄せてくるでしょ」
「あはは、そうかもね」
否定はしないのか…。
でも自慢してるわけでもなさそう。
「…一ノ瀬君ってさ、自分のことイケメンって思ってたりするの?」
ぽろっと口から出てしまった疑問は風に乗って彼の耳に届いた。