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「あらまぁ、美奈ちゃん。
今日は可愛い格好してるねぇ。」
「あ、浜のお婆ちゃん。」
待合室のイスに座ると、先に受付を済ませていたいつも一緒になるお婆ちゃん。
今日はいつもよりちょっとお洒落してみた。
だって…
「古谷先生も、可愛い美奈ちゃん見て、腰を抜かしちゃうだろうねぇ。」
「もう~お婆ちゃんてばぁ。」
ーーーーーー村山さん、村山 美奈さん、
中へお入りください。
診察室へ呼ばれた。
浜のお婆ちゃんに『頑張ってね。』と応援されつつ、診察室のドアを開けた。
病院のみんな、私と先生を知る患者さんは、私が先生に好き好きアピールをし続けていると、今でも応援してくれる。
「しつれーしまーす。こんにちわぁ。」
「はい、座って。」
今日も相変わらず、カッコ良すぎる白衣姿の古谷先生。
あぁ。やばい。やっぱり…
「先生、好きです。。」
どうしても伝えたくなっちゃう溢れんばかりのこの気持ち。
「はいはい。…で、調子はどう?
薬もちゃんと、飲んでるか?」
うん。いつもの感じ。
別にもう慣れちゃったもん。
いいもんねぇーだ。
「じゃあ次、聴診するから。」
大きく深呼吸をする。
「うん。呼吸の音もいいな。特に変わった所もなさそうだ。」
先生が聴診器を耳から外しながら、言った。
「今日は心拍数正常だな。」
からかうように私を見て言った。
私もちょっとからかってみよう。
「ふふふ。何ででしょうねぇ?
やっぱり気持ち的にこう、安心感というか…
繋がってるものがあるからですかねぇ?」
もう、おじいちゃん先生にはお世話にならなくてもいいんだ。
「先生、いつもの言ってくれないんですか?」
「今は診察中です。」
「あーあ、せっかく今日はデート出来ると思ってちょっと気合い入れてお洒落したんだけどなぁ…」
「ったく、1回しか言ってやらないからな。」
回転式イスごと、私に近づいた先生は…
「美奈、好きだ。」
「///////」
微かに照れる先生に、私も思わず照れる。
「大人をからかった罰。」
「…………ん。」
意地悪な先生は、やっぱり私の胸をドキドキさせてしまう。
優しくて、甘いこのキスで。
みんなは知らない。
私だけに見せてくれる先生がいる。
10年越しの『好き』が
繋がった瞬間。
それはあの日の夜の病室でした。
end*



