ある夜、私は今日から新しいパパになる人をママから紹介された。


 二階の自室で勉強している私を連れてママと一階に行くと、テーブルではそのパパらしき人がコーヒーを熱そうにゆっくりと飲んでいたが、私を見つけるなりコーヒーカップをソーサーに置き、にっこりと笑う。


「えーっと、初めまして、かな。今日から僕が君のパパになる、鹿檻(かおり)だよ。パパって呼ぶ事に抵抗があるなら、名前とかでもいいからね」


 そう言って、鹿檻と名乗った男の人はにっこりと笑う。どうやら悪い人ではなさそう。だからといっていい人という証拠はないけれど。


 そうして私は少しだけ警戒のレベルを下げた瞬間、ママが思い出したように言った。


「あ、そうそう、ママね、明日から一ヶ月ほど家に帰られなくて……だからその間この人とお留守番してもらう事になるけど、いいわよね?」


 ……は?