「あのね…『呪う』って連呼した後に私の名前を読んだの。そうしたら血だらけの手がぬっと出て来て…」
必死に私に訴えかける望美。
でも…隣りの個室は、誰も入ら無かったし
こんな狭いトイレに居るのは、私と望美だけ。
こんなホラー映画みたいな事ある訳ないし…。
「気の…せいよね?」
「本当に見たんだもん!!聞いたんだよ!?」
それでも必死に訴えてくる。
嘘だと思いたい。
でも、こんなに怯えている望美は、初めてみた。
「と…とにかくこのトイレから出よう。
そして、須賀先輩達にその事を伝えよう…」
慌てて望美を連れてトイレから出た。
しかし、出ても誰も驚いた顔も『どうしましたか?』の声もかけられ無かった。
「…何で…!?」
唖然とする2人。
あんなに叫んでいたら普通気づくでしょう?
「おい。響子、望美どうしたんだ?そんな所で、突っ立って…」
不思議そうに訊ねる青木先輩。



