「ねぇ、明日香、おれもう、バスケできないのかな?」

双子の兄がとうとつにに言った言葉にとまどいを覚えた。

「……。」

僕は何を言ってもダメな気がして何も言えなかった。

「……。冗談だよー!そんなに落ち込むなって!俺は大丈夫だよ!バスケしなくたって生きていけるしね!」

夏希は『冗談』と誤魔化しながら笑っていた。けど、手は震えていたし、目が笑ってはいなかった。強がっていた。

僕は夏希の手を力いっぱいギューと握った。すると夏希は

「……あ、明日香……おれ、バスケがしたいよ、もっと、真剣に取り組めばよかった……」

と夏希が言った。しばらく沈黙が流れた。夏希はいつも、家族や友達とかに頼りにされていて、弱音もはかない、 頭もいい、いわゆる完璧な人。中学生の頃思春期だった僕は、そんな完璧な兄を憧れ反面、憎いと思っていた。

僕の方が早くバスケをしていた。それなのにふざけていた夏希の方がバスケがうまかった

だからいま、夏希がバスケをできなくなって、少し、ほっとした。それは、バスケでは勝てるからだ。ほんとにボクは最低だ。
きっと、世界中の人が僕の気持ちを見てそう思うだろう。


「な、つき...」

僕がしゃべろうとしたら遮るように

「なぁ、明日香。」

と、夏希が話してきた。

「な、何?」

顔がひきつる

「お前。」