浮気性な彼

無造作にはねたこの明るい髪。

180近くある背。

いい具合に着崩された制服。

右ポケットに入ったモノクロの財布。

………俊平。

あれだけ関わらないって決めたのに…
俊平って存在にこんなに意識しちゃっている私がいる。

もちろん、俊平の隣には可愛らしい女の子の姿。

慣れたんでしょ?
じゃー、このまま無視すればいいのに…
今の私にはそれができなかった。


「ちょっときて!」

私は俊平の手首を引っ張り、日頃あまり使われていない理科準備室へはいった。



「何?」

上から聞こえる低い声。
や、やばい…
私…なにやらかしちゃってるのよ!
こいつ引き止めて何しようって言うのよ!