浮気性な彼


「ごめん…急に…あんなことがあったから…俺…パニクってさ…」

そっか…
そうだよね。

「ごめん…私、ついカッなっちゃって…」

…うん。
誰も悪くない。
一ノ瀬さんは俊平が好き。
好きだったらキスしたいって思うのも分かるかもしれない。
俊平だってキスされるなんて思っても見なかったってことだよね。

…誰も…悪くないんだ。
なのに、私1人でキレちゃって…
意味分かんないのは私だっつーの。

「ごめん…私…教室、戻るね」

私はその場にいずらくなり、そそくさと教室へ戻る。

教室に入ると、1限目が終わっていた。

最初に目があったのは…

一ノ瀬さん。

私の方を見て、ニヤッと笑う一ノ瀬さん。
やめてよ…
私、頑張って我慢してるのに…
やめてよ…

「大丈夫?沙耶」

私に声をかけてくれたのは彩芽…ではなく、クラスの女の子達だった。