「いや、まぁ気にしといてってぐらいだから。何かあったら相談のるからね」
誤魔化したように言う彩芽。
私は何のことだかさっぱりだったから、耳にもとめてなかった。
ーーーーー
やばい!忘れ物した!
遡ること30分前……
『沙耶〜今日私の家こない?』
久しぶりに彩芽が家に誘ってくれたから行こうかななんてウキウキ気分になっていたのに…
大事な課題のノートを教室に忘れてきてしまったのである。
『ごめん!忘れ物しちゃった!すぐに戻ってくるから待っててもらっていい?』
『はいはい。急いでね〜』
…そう。
それから今にいたるってわけ。
ダッシュで階段を上り、私の息は荒れている。
1-Bの教室につき、ドアを開けようとすると、中から声が聞こえた。
「私…ずっと…好きだったの…」
こ、こ、こ、告白!?
初めて見たよ!
生告白なんて!
なんてソワソワしていられるのも今のうちだけだった。
「ごめん。一ノ瀬…」
断っている男の子の声は俊平のものだったから…
何度も耳を疑ったけど、あれは確かに俊平の声だった。
一ノ瀬さんが…俊平を好き?
…実行委員だって一緒なわけでしょ?
ってことは、今から文化祭まで2人一緒にいることの方が多くなるじゃん…

