保健室から服を着直しながら出る彼を

他の女の子と電話する彼を

皆に優しくはにかむ彼を

いろんな女の子の頭を撫でている彼を

もう見たくないんだ。


「やめて。私はもう無理…限界だよ…」

涙が出そうになるのを必死で我慢する。
俊平はと言うと、私のことなんて見向きもしないで遠くをずっと見つめている。

「沙耶は俺のこと嫌いなわけ?」

やっと私を見たかと思えば…
急に何言ってんのよ。
嫌いなわけ?って…

嫌いになんて…なれるわけないじゃん…
まだ好きだよ?
でも…だからって付き合っていたいなんて思わないから。

「嫌いじゃないけど?だからどうとかじゃないでしょ」

あいつの目は真剣そのものだった。
でも、私だって本気だし。
別れるって決めたから。