悔しかったから、気にしてない素振りを一生懸命につくった。


「よかったの?沙耶…」

心配そうに私を見つめる彩芽。

「大丈夫。ありがとう…私…早退するわ…なんか…今は1人になりたい…」

彩芽には、たくさん迷惑をかけて私は最低なやつだと思う。
彩芽の相談は何も聞いてあげれないのに私のことはいつもいつも相談にのってもらってさ…

側にいてくれようとしたのに…1人になりたい…なんてこと言ってごめんね。

「そっか…分かった。先生には上手く言っておくよ。また明日ね」

ありがとう、とおれいを言ってスクールバックを持つ。
1段1段ゆっくりゆっくり階段をおりていくと、自分の影の後ろにもう一つの影が見えた。

「沙耶…帰んの?」

後ろにいたのは同じクラスの大政大雅(おおまさ たいが)だった。

「うん…ちょっと嫌なことあってさ…あの教室にいたくない…って言うかさ…」

大雅とは小中高、全て一緒で、普段から仲のいい男友達の1人。
どこからどう見ても、球児って感じの頭をしていてすごくかっこいい。
野球をしているときの大雅は誰が見ても見惚れてしまう。

「あいつだろ。」

一瞬震える私の体。

何もかも大雅には身抜かされてると思い、裏庭へと行きのベンチに座り、階段でのことを話した。