浮気性な彼


「俊ったらぁ〜。彼女いるんでしょ?」

階段から聞こえる女の子の声。
俊って…まさか…

…そんなわけ………ない…よね?

「いるけど?」

階段に響いたこの声の主は俊平だった。

彩芽と顔を見合わせ、2人の響く声をおとなしく聞く。

「でも彼女と全然話してないじゃぁん。ヤッてないんでしょぉ?」

ドクンドクンと激しく波をうつ。

「まぁな」

「ねぇねぇ、今日も…ヤろ?」

…ヤるって、アレ…だよね?
今日もって!
いつもヤッてるのかよ。
何てこたえるの?俊平は…




「しょーがねぇなぁ…行くか。保健室。」



…そ、だよね…
やっぱり…そうだよね…

「行こ。彩芽。」

1-Bの教室に行くには、俊平と女の子のいる階段を通らなければいけない。
でも、もうそんなのどうでもいい。
私はためらう彩芽の前をスタスタ歩いた。

目の前には髪を緩く巻いている可愛らしい女の子と俊平の姿。

私はその隣をズカズカと歩いた。