動揺しているのがバレバレな私の口調。
その喋り方を見て、少しずつ顔を近づけてくる俊平。
…ここでこいつのペースに呑まれるの?
私、別れるって決めたんじゃないの?
ダメ…
ここで負けたら、私はこいつになめられたままだ!
「わたし!」
そう叫ぶと俊平は動きを止めた。
「もうあんたの波に呑まれたりなんてしないから!」
そうとだけ言い捨て、彩芽のいる食堂へと足を急がせる。
「あ、彩芽!ごめんね。」
彩芽は私と俊平の話を聞きたかったのか目をキラキラさせて待っていた。
「俊平君と何があったの?」
何…?
何があったんだろう。
たいして何もなかったような…
キスは…してないね。
喧嘩も…してないね。
別れては…ないね。
ん…!?
何しに行ったのよ!
理科準備室から出てきた俊平はさっきの女の子とイスに座っていた。
はぁ…何もできなかった。
あの2人を見たくなかった。
だから、俊平をあの教室に連れて行ったんだよ?
なのに、止めれもせず…
何もできなかった。
「何も…してない。」
私の異変に気づいたのか彩芽は私の顔を覗き込む。
「どした?何かあったの?」

